今日は朝から曇り。それほど厚くはないが、薄曇りだ。
郷ひろみのバラード曲を聴きにつつ寂しきよせつなきよこの世の恋は
われになほ人恋ふこころあることを郷ひろみのバラード聴きつつおもふ
わたしよりたった一歳の年上が自由に手足うごかして歌ふ
『論語』述而三五 孔子が言う。「贅沢をしていると尊大になり、倹約していると頑固になるが、尊大であるより、むしろ頑固の方がよい。」
贅沢の方が害が大きいということだ。
奢れば則ち不孫、倹なれば則ち固まあ倹約の方が害なかるべし
『正徹物語』143 俊成の家は、五条室町にあった。定家が母と死別した後に、父俊成の家に行ってみると、秋風が吹いて荒廃し、早くも俊成も心許ない様子に映ったので、定家の一条京極の家から、父のもとへ、
・玉ゆらの露もなみだもとどまらずなき人こふる宿の秋かぜ 新古今788
と詠んできたのは、哀れさも悲しさも際限なく、悶絶するばかりの巧緻な歌ぶりである。俊成の返歌に、
・秋になりかぜの涼しくかはるにも涙の露ぞしのにちりける
そっけなく返しているのが、理解できない。しかし、定家は自分の母のことなので、哀れにも悲しく悶絶するように詠んでいるのは当然である。俊成は、妻のことであり、もう老人なので、今更「やるせない、哀しい」などと言っては不釣合なので、「ただ季節が秋になって、風が涼しく」と何ともないように言っているのが、かえって何も思いつかないほど感動的だ。
母の死と、妻の死との違ひありわれは俊成の歌を好めり
『伊勢物語』九十三段 低い身分だった男が、高貴な人に思いを寄せていた。ほんの少しは望みがあったのだろう。男は寝ては思い、思いにたえかねて詠んだ。
・あふなあふな思ひはすべしなぞへなくたかきいやしき苦しかりけり
身分不相応な恋の苦しみは、昔も今も同じだ。
いやしきがわれよりまさる人を恋ふ苦しかりけりいまも変はらず