朝から雨だ。時々止むものの、また降る。外を歩けないので、室内・廊下・階段を歩く。
室内・廊下・階段を二千歩ほど歩く今日午前のノルマ
ノルマとはシベリアに抑留された者が伝えへしといふ苛酷な労働
沸かしたての麦茶を注げば茶碗より白き湯気立ち薄く消えゆく
『論語』述而一四 冉有が言う、「孔子は衞の君を(衛の出公輒。内乱状態にあった)助けられるだろうか。」子貢が、わかった、私が孔子先生にこれを問う。入って尋ねた「伯夷と叔齋とは、どういう人ですか。」孔子が言う。「昔のすぐれた人だ。」子貢が「君主の位につかなかったことを、後悔したでしょうか。」孔子が言う。「仁を求めて仁を得たのだから、何を後悔しよう。」子貢は退出すると「夫子は為けじ。」と言った。
そりゃそうだ。孔子の理想とする伯夷・叔齋とはまったく違う。
仁者にあらねば孔子助くることやなし衛の乱れざま視野にも入らず
『正徹物語』122 宇治への行幸があり、清輔が供奉した。歌の会があったが、他の人は皆出したが、清輔一人、長々と考えて、遅れて出した。「清輔なれば、人も許し、」遅れたことも問題にならなかった。
・年へぬる宇治の橋守事とはむ幾世になりぬ水のみなかみ
この歌は「宇治の橋守」から下はすべてでき、最初の五文字が思い浮かばなかった。どうしようもなく、「年へぬる」の五文字を注のように小さく書いて出した。これは下四句と比べるとまったく足りない五文字である。
歳ふりし宇治の橋守にこと問はん幾世になりぬ水流るるは
『伊勢物語』七十二段 伊勢の斎宮づきの女房に、ふたたびは逢えぬ男がいた。そして隣国へ行くことになった。男は、女を恨んだ。すると、女は詠んだ。
・大淀の松はつらくもあらなくにうらみてのみもかへる波かな
男は、引き返してきた思いたいですね
大淀に待つはつらしと思ふりうらみてゐても男はかへる