2024年4月21日(日)

そこそこ明るいのだが、曇り空であり、どこか寒さが感じられる。

  若みどり色の木の下をゆく妻の若草色の春のセーター

  木に隠れ若草色の妻がゆく遠くを見てをり春の山並み

  葉ざくらの鬱陶しき葉のした通るこの道はむかしの街道

『論語』述而五 孔子が言う。「甚だしいかな、吾が衰へたるや。久し、吾れ復た夢に周公を見ず。」 周公、周の武王の弟。周の文化を創建した。魯の国の始祖。理想主義の孔子の憧れ。

  周公を夢に見ることもなきわれの衰へたるか孔子嘆けり

『正徹物語』114 「浦の松」という題で、
・おきつ風いさごをあぐる浜の石にそなれてふるき松のこゑかな

と、詠みましたが、家隆の
・浜松の梢の風に年ふりて月にさびたる鶴の一こゑ

という歌の情景が心にうかんだ。この歌のスタイルは、巌が苔むして幾千年ともわからないほど歳月を経た、蒼古な姿を見ている気持ちがする。いわば仙境を見る気分がする。格調高く堂々とした歌のスタイルである。ただし幽玄体ではない。

  幽玄の体にはあらねど家隆がうたひし鶴のひとこゑ鳴く歌

『伊勢物語』六十四段 男は、女と文をかわしていた。それだけで、ひめやかに逢って語り合うということをしたことがなかった。いったい女はどこに住んでいるのだろう。男は疑い、詠んだ。
・吹く風にわが身をなさば玉すだれひま求めつつ入るべきものを

女は、返した。
・とりとめぬ風にはありとも玉すだれ誰がゆるさばかひま求むべき

  逢ふことを断られたるか昔男そんなこともあり皆がより来ず

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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