朝から明るい。しかし冷えている。
生ゴミはわが腸を潰したる如きとおもひ捨てかへりみず
生ゴミのごときわれなり塵芥に混じりて捨場に端坐してをり
今朝もまたゴミの袋を捨てにゆく腐臭はわれの臭ひなるかも
『論語』公冶長一四 子路のことである。子路は「聞くこと有りて、未だこれを行なうこと能はざれば、唯だ聞く有らんことを恐る。」子路賛という事だらうか。
子路のよさは聞きたるに行へざればそを恐ること
『正徹物語』66
「夜の水鳥」の題に、この一首がある。
・夕づくよ水なき空のうす氷くだかぬ物と鳥や鳴くらん
水面に宿る月を氷に見立てることを正徹は良しと言っているようだ。注のいうとおり62の「夕づくよ」の例示だろう。
夕づくよ水鳥の鳴く空にしてなにも見えねば音のみ聞こゆ
『伊勢物語』十六段 紀有常は、三代の帝に仕え、はぶりもよかったが、時が移り貧乏になった。妻は尼になり、姉のところへ去ってしまった。有常は、男に手紙を書いた。「かうかう、今はとてまかるを、なにごともいささかなることもえせで」と歎いて、最後に、次の歌を詠んだ。
・手を折りてあひ見しことをかぞふれば十といひつつ四つは経にけり
男はこれを見て、あわれに思った。衣装と夜具まで送ってよこした。そして、歌。
・年だにも十とて四つは経にけるをいくたび君を頼み来ぬらむ
有常はうれしさのあまり二首詠んだ。
・これやこのあまの羽衣むべしこそ君が御衣とたてまつりけれ
・秋や来る露やまがふと思ふまであるは涙の降るにぞありける