今日も朝から雨、そして寒い。
木村朗子『百首でよむ「源氏物語」』(平凡新書)を読む。五十四帖の粗筋を解説しつつ、それぞれの和歌を紹介する。『源氏物語』には、登場人物が詠んだ和歌として七九五首が載っている。その全部を作者、紫式部が作ったものというからすごい。この歌日録にも源氏物語百首を反映させたい。だが『伊勢物語』の後になる予定だ。
紙やすりに木の裏側をけづりゆくごとくにたましひの傷つけられぬ
ざわりざわりわがたましひを紙やすりに撫でられ反骨の地のあらはるる
一巻の絵巻のごとき人生を誰も彼も持つこの世のあはれ
『論語』公冶長五 ある人が「雍(孔子の門人)は仁だが弁が立たない」っと言ったので、孔子がそれを聞いて「どうして弁の立つ必要があろう。口先の機転で人と応対しているのでは、人から憎まれる。彼が仁かどうかはわからないが、どうして弁の立つ必要があろう。」
仁こそが肝要ならむ佞を用ひ弁立つことは二の次のこと
『正徹物語』57 「庭」の題では軒を詠み、「軒」の題にはたいてい軒と詠んでいる。
「庭」は建物を含むが、「軒」は建物そのものだということらしい。
庭の題にて軒を詠む軒は軒なり建物そのもの
『伊勢物語』七段 高貴な女性との恋は、失恋に終わった。逃避行か東国へ向かう。その途次、伊勢と尾張のあいだの海辺をゆくと浪がたいそう白くわが身に沁みたのである。
・いとどしく過ぎゆくかたの恋しきにうらやましくもかへる波かな
う~ん、彼女のいる京が恋しいよなぁ。納得。