紀元節であり、折口信夫の誕生日だ。生誕137年である。天気はいい。
夕べ、泉鏡花『外科室・天守物語』(新潮文庫)を読んだ。他に「化鳥」「霰ふる」「高桟敷」「二三羽―十二三羽」「絵本の春」「縷紅新草」が入っている。生と死、幽界とこの世の境を行くようで楽しい、愉しい読書であった。
ぼんぼんぼろんぼんぼろん朱の盤あまた鳴らして山伏
泉鏡花の真か不可思議な小説をねぶるやうに読む如月はじめ
浮草は思案のほかの誘い水勺してうれし一献二献
『論語』里仁二〇 孔子の言。「三年、父の道を改むること無きを、孝と謂ふべし。」
父が死んで三年、そのやり方を変えないのが孝行だというが、そうなのだろうか。たった三年と思うのは、私だけだろうか。
父死して三年のあひだやり方を変へねば孝かたやすく思ふが
『正徹物語』46 鶴殿こと内大臣基家は、光明峯寺殿道家の子どもである。いまの月輪殿の先祖である。鶴殿は続古今集の撰者である。正徹の蘊蓄の一つかな。
鶴殿は光明峯寺殿の子なりけり月輪基賢の先祖に候
「百人一首」藤原定家撰 前半
・田子の浦に打ち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山辺赤人
・花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに 小野小町
・小倉山峰のもみぢ葉心あらば今一度のみゆき待たなむ 藤原忠平
・人はいさ心も知らず古里は花ぞ昔の香ににほひける 紀貫之