朝から晴れている。ひさしぶりだ。
妻が「小川晴陽と飛鳥園一〇〇年の旅」を観てくる。
香薬師像、新薬師寺より失はれいくとせ経たるかその像見たし
坐に座る大日如来の像の写真妻の視線を釘付けにせむ
いく枚かの絵ハガキみやげに帰り来し妻よやさしき目をして微笑む
『論語』巻第七 子路第一三 一 子路、政を問ふ。孔子曰はく、「これに先んじ、これを労す。益を請ふ。」さらに問ふと、孔子曰く、「倦むこと無かれ。」
政を問へば孔子の答へ率先し労ふことと倦むこと無かれ
『春秋の花』 与謝野晶子
・花草の満地に白とむらさきの陣立ててこし秋の風かな 『舞姫』1906
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・吾亦紅すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ 牧水『別離』
・道々の秋野に花はゆらぎたれど尚眼をとじぢて見たきものあり 憲吉『松の芽』
・うつり行く女のこころしづやかにながめて秋をひとりあるかな 夕暮『収穫』
・秋さびしもののともしさひと本の野稗の垂穂瓶にさしたり 千樫『青牛集』
概して秋の秀歌は、生命の物悲しい寂寥感を帯びる。しかるに掲出歌や
・水引の赤三尺の花ひきてやらじと云じし朝露の道 晶子『舞姫』
精力の溌溂たる充実感に輝く。
・夜の二時を昼の心地にゆききする家のうちかな子の病ゆゑ
秋草の寂びてわびしき道をゆくひとりにてあるか老いの友なし