雨ではない。晴天であるが、やがて曇ってくるらしい。
老いらくのたしかに来むと思へるはでこぼこの径にふらつく歩み
いつしかに千年経るかこのいのち呆けて惚けて翁の体に
今日の朝はつぶれたカレーパンを召し上がる妻の機嫌の少しよささう
『論語』八佾二六 孔子が言った。「上に居て寛ならず、礼を為して敬せず、喪に臨みて哀しまずんば、吾れ何を以てかこれを観んや。」これ現代社会にもありそうですね。上に立つもので、寛容でなく、慎みがなく、葬儀に哀しまない者、そこそこいそうだ。
上に居て寛容ならず慎しまぬ葬儀に哀の心なきもの
『正徹物語』26 「秋ノ夕」の題で詠んだ歌。「うしとてもよもといはれじ我が身世にあらん限りの秋の夕ぐれ」後小松院に合点(評価)を頼んだところ「一生秋光の暮色に心をいたましめ侍る事、哀れにせんかたなく侍り」と感心された。今はこれほどの歌は詠めないだろう。為重卿も同題に「一かたに思ひしるべき身のうさのそれにもあらぬ秋の夕暮」と詠んだ。いい歌だろうということだろう。
一生秋の夕暮れを喜ばむ正徹よこの世の憂さを逃れて
『定家八代抄』夏、秋上から、
・春過ぎて夏来にけら白妙の衣ほすてふ天の香具山 持統天皇
・さ月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする
・夏山のならの葉そよぐ夕暮はことしも秋のここちこそすれ 源頼綱
・秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 藤原敏行
・ながめわび秋より外の宿もがな野にも山にも月やすむらん 式子内親王
けっこう有名な歌が多くなった。