朝は秋かと思うものの、やがて暑くなるらしい。
天井の二基の灯火に照らされてわが影二つ濃淡がある
天井灯火に照らされて濃き影あゆむ薄き影付きて
われとわが影ふたつのうちのどれがわれなる惑ひ惑ひき
『論語』先進一九 孔子が言う。「回(顔淵)は、其れ理想に近いが、しばしば窮乏する。賜(子貢)は命令を受けなくとも、金もうけをして、予想したことは、しばしば当たる。」
顔淵と子貢を二人比ぶればどつちもどつちかあれこれ言へど
『春秋の花』 古今集よみ人しらず
・ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめもしらぬ恋もするかな
内容は下世話の「恋は闇」とか「恋は盲目」ということにほかなるまい。「あやめ草」から、「しょうぶ風呂」をいつも思い出し、そこから「六日のあやめ、十日の菊」という諺に必ず思い及んで、その諺が私のする事なす事にさながら当てはまるのを今更らしく省み知って憮然とするのである。
・きみやこし我や行きけむおもほえず夢かうつつか寝てかさめてか
・春されば野べにまづ咲く見れどあかぬ花 幣なしにただ名告るべき花の名なれや
ほととぎすことしも聞こえず過ぎてゆくあやめも知らぬ鳥鳴く声を