2023年9月18日(月)
病院の窓を雲がゆく。 暁烏けさも鳴きつつ移りゆくねぐらより出で田のうへを飛ぶ あけがらすけさも早くに鳴きだしていづくゆくらむ町めぐりをり メキシコのアステカ神を写しゆくいつしか魔法にかかりしごとく
病院の窓を雲がゆく。 暁烏けさも鳴きつつ移りゆくねぐらより出で田のうへを飛ぶ あけがらすけさも早くに鳴きだしていづくゆくらむ町めぐりをり メキシコのアステカ神を写しゆくいつしか魔法にかかりしごとく
今日も外は暑いのだろう。 朝がらすたけだけしくも鳴きさわぐ。稲田に垂り穂、風に鳴るとき 黄金の稔り田にしづかに降りてくる来臨を待つ南無阿弥陀仏 雲を吐きジェット機西へ飛びゆけり青空に少なき雲を避けつつ
外は暑そうだ。病院内はエアコンが効いている。退院だ。 鷺五羽が鳴きつつ田圃の畔に降りる稲穂稔れるえびなの田へと ひよどりは速度落して飛びゆけり黄金の田を睥睨しつつ 続々と畔に降下す。稔り深き海老名田圃をおのお...
堀田善衛『方丈記私記』を読む。いい本だ。1945年、大空襲の際、そこあったのは「感情の、一種の真空状態」だった。しかし「実は私氏自身の内部において、天皇に生命のすべてをささげて生きる、(略)戦慄をともなった、ある種のさわ...
病室は五階の端、窓側である。秋の田が見える。 かろやかに小雲(せううん)ひむがしへ流れゆくこの軽やかさ秋のものなり 穂の垂れて刈りしほ近しこの秋もたけてゆくなり黄金の田に この日ごろ黄金の田に穂の重く刈りしほ...
入院の日だ。 いくつかの歌集原稿用意して病室に持ちこむ完成稿を目指し プリンターに打ち出す歌集の数枚を読みこむたびに旅をし思ふ 旅へ行く歌多くして第六歌集読み返すたびその旅おもふ
迢空忌。朝方は涼しいのだが、暑いのに変わりはない。 紙(し)垂(で)四枚垂らして神棚あでやかなり祈りささげむ地の霊たちに 石上(いそのかみ)ふる鈴振りて、いにしよをひらくがごとき鶏の鳴き声 地の霊など九月一日...