朝方は涼しかったのだが、昼酷暑。また入院だ。
瀬戸内寂聴『ここ過ぎて 白秋と三人の妻』読了。文庫本ながら700ページある。しんどい読書ではあった。詩、短歌、童謡など多彩な作品を操る北原白秋に三人の妻がいた。最初の妻は俊子だが、隣家の夫に「姦通罪」で告訴される。二番目は章子、そして三人目が菊子。この菊子がもっとも長く、穏やかだったが、他の二人に関しては相当に激しい関係であり、とくに二番目の章子については、瀬戸内の筆も激しく、読みでがある。
目を盲ひし北原白秋。心弱くなり別れし妻をおもはぬものか
ここ過ぎてゆくよりなきか妻二人捨てて文芸の道進むもあはれ
小田原のみみづくの家にはしやぎしは江口章子なり離縁されにき
寂聴の書きしはおほかた二番目の妻のこと執拗に歎きたりけむ
寂聴は江口章子を好めるか多くを割きつ章子のことに