朝から雲が厚い。
みづきの冬木の枝にすずめゐてぴちゅくぴちゅくとわれ呼ばれゆく
わが佇てる近くの枝をゆすりつつ雀鳴きをり小さな一羽
木蘭の樹下はなびらをあまた落しあはれ無惨に花びらの散る
をちこちに辛夷、もくれん春の花白きが咲きてうすら寒き日
駐車場に枝張りだせる染井吉野中つ枝下枝に花付けはじむ
鶯やいまだ越侘ぶこの地には春の囀りとどかざりけり
越侘は、「山、川、関所などを越えることができず、それを残念に思う。越えるのに困難を感じる」ということ。先日、山間の森にいた若い鶯だが、山を降り、川を越し私の住むあたりまでは、まだ越してこられないのだ。