2022年8月22日(月)

部屋に風が通って、やや涼しい。

芭蕉『笈の小文』を読む。何度か読んでいるのだが、ようやく意を汲めるようになってきたような気がする。白馬へ行っているとき『奥の細道』を読んだのだが、今まででもっとも腑に落ちたような。60代になって、ようやく古典が読めるかもしれない。「百骸九竅の中に物有。かりに名付けて風羅坊といふ」にはじまる大和紀行、愛知県の保美に謫居する杜国を訪ねる。このあたりの芭蕉の句、どこか艶めいている。「寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき」「冬の日や馬上に氷る影法師」「鷹一つ見付けてうれしいらご崎」、そして伊勢に再会する杜国。ここでは万菊丸と名乗り、笠の内への落書き「よし野にて桜見せうぞ檜の木笠」、「よし野にて我も見せうぞ檜の木笠」。前者が芭蕉、後者が万菊丸である。二人の細やかな愛情がうかがえはしませんか。

万菊丸、童子を名のる同行者よし野のさくらに三日とどまる

風羅坊は万菊丸に逢ひにけり笠の内ふたりの句を書きつけて

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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