朝は少し涼しめ。
野口冨士男『暗い夜の私』を読む。ここでも『なぎの葉考・しあわせ』について感想を述べたことがあるはずだが、この一冊もよかった。戦前・戦中・戦後の野口をめぐる若き作家たちの文壇状況が、さまざまな人の繋がり、エピソード、時代がもつ暗さが、丹念につづられている。太宰治の葬儀の夜の外村繁、十返肇との交友、「戦争は一つ一つ私から何かをうばっていく」などがわたしの心にふれてくる。今日はいろいろあったようだが、ふれたくもない。
沙羅双樹の葉をちぎりとりてのひらに載せて小さな葉を愛ほしむ
錯綜する葉脈を絵にうつしゆく夏つばきの葉のいのちの脈を