録画してあった三島由紀夫に関する二本のNHKのドキュメンタリーを観る。川端康成との軋轢を描いたものと三島事件の日を検討したもの。どちらも多くは知っていることだが、おもしろかった。こんなことばが拾われている。「英雄として死ぬか、文豪として死ぬか」。川端がノーベル文学賞を取ることによって三島は英雄の死を選んだ。そして、これはドキュメンタリーの主張ではないが、1970年の三島の死は、25年後の殉死ではなかったか。昭和天皇にではない。きわめて抽象的な日本の伝統と文化への殉死。そう考えると少しだけだが、分かったような気になるのだが……
三島由紀夫その死の謎をいくたびもいくたびも問ふ「殉死」あるべし
川端と三島にありし確執をおもへば人は他愛なきもの