2022年5月11日(水)

志賀直哉『暗夜行路』を読んだ。学生時代に一度読んでいるが、最後の大山(だいせん)の場面しか覚えていないから、まったく新鮮な気持ちで読めた。主人公、時任謙作は、日本の近代小説特有のダメ男といっていいだろう。もっとしっかりせいよ、と声をかけたくなる。しかし、それこそが「『実存』のうめき」(尾崎一雄)なのだろう。大山での回心はやはり圧倒的なものである。一度読んでいるわりには、けっこう時間を要したが、よき読書でありました。

暗夜行路をためらひ身勝手に生きてゐる時任謙作の苦悩のうめき

大山(だいせん)の夜のたましひにふれたるか生死のさかひをさまよひたるは

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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