朝方は晴れていたが、次第に雲が多くなってくる。
固き実も仄赤らみてほぐれくる椿の木やがて花にほころぶ
南斜面の公孫樹の大木も葉のうちに黄の色混じへ師走四日
夜の椿のかげに痩せたる雪女郎
貫井徳郎『追憶のかけら』現代語版を読む。貫井らしいと言えばそうなのだが、このミステリイも壮大な構えをとりながら、実に他愛のないといえば他愛のない悪意の物語である。しかし、それでも涙ぐましい結末には泣かされてしまう。作中作が正字正かなで書かれていたものが、新版の文庫では現代語になっているらしい。正字正かな版で読んでみたかった。その方が虚偽を見破りやすかったのではないだろうか。だからと言ってもう一度読もうとは思いもしませんが。
なさけなきわが身に近きミステリイどこか憎めぬこの主人公
