八朔である。稲の育ちは上々に見える。上野の森に妻と「聖徳太子と法隆寺」、「国宝 聖林寺十一面観音――三輪山信仰のみほとけ」を観てきた。いやぁ、暑かったが、行ってよかった。聖林寺の十一面観音に出逢ったのは大学一年のとき、まだガラスケースもなかった。間近に一人で見上げていた。圧倒されるほどの厳しさを感じた。それから何度訪れただろう。まさか東京で出会えるときがあるとは思ってもみなかった。
照り葉木の葉叢をこぼれ腕をやく夏のひかりの暑し、暑し
脳髄も灼かれて大和法隆寺の諸仏に出逢ふ仏の背にも
大国主大神木像に手を合はす神秘の像の愛らしくして
聖林寺十一面観音像の表情の厳しさ東京を厭ひたまふか