佐江衆一『野望の屍』読了。著者最後の作品、没後の出版である。ヒトラーと石原莞爾を軸に二十世紀前半の戦争の時代を描く史伝である。私が言うのも何だが、戦争の時代を知らない若い世代の人に読んでもらいたい。しかし思えば、世界の秩序、平和を武力によって維持しようとすることは今も変わっていない。佐江衆一の怒りがこの最後の遺作を書かせたのではあるまいか。人類とは過去に学ばないものなのか。なんと阿呆な種族なのだろう。
早晩に地球滅びむ花みづき
戦争はほんたうに終わつたのか。佐江衆一『野望の屍』怒りもて読む
春のみどりに心躍れどいつまでも戦火治まらぬ地球よあはれ
今日は横須賀短歌会の日であった。横須賀港に日米ともに戦艦の姿は少ない。さてどこへ。不穏である。短歌会の皆さんの作品はよかった。ひさびさの対面での歌会。楽しい日であった。